就労不能時の公的保障をチェック
前の記事「病気やケガで働けなくなったら?」で、傷病手当金や障害年金のお話をしたよね。
万一の時に、とても心強いセーフティーネットの公的保障だソロ。
前回の記事で、就労不能時の収入のイメージは持ってもらえたと思うんだ。
今回は、傷病手当金や障害年金のしくみや受け取るための要件、支給額などについて、紹介していくソロ。これを機に、ぜひ制度のポイントをおさえておこう。
ここでのゴールは、
①就労不能時の公的保障の種類とおおまかな内容
②公的保障の支給額をざっくり把握しておく
それでは本題に入るソロ!早速、中身を見ていこう!
傷病手当金とは
傷病手当金とは、病気やケガで働けなくなったとき、加入している組合健保や協会けんぽ、共済などの健康保険から最長1年6か月間、1日当たりの報酬額の3分の2の金額が支給される制度です。
できるだけわかりやすくお伝えします。詳細は協会けんぽHP
まずは、傷病手当金の概要を、ざっくりまとめてみました。
なお、業務上の病気やケガは労災の方で対応します。
2.3日間連続の休業(待機期間)を含んで4日以上仕事に就けないときに、4日目から最長1年6カ月支給。なお、待機期間には公休日や有休も含みます。
3.休業期間の給与の支払いがないことが条件。支払いがあった場合でも傷病手当金より少ない場合は差額が支給。
4.健康保険組合加入(大企業等)の場合は独自給付有。例えば、支給額が3分の2以上になるケースもあります。
5.傷病手当金から社会保険料を支払うためそこからさらに減る。
6.計算式に賞与が入らないため年収ベースで考えると少なくなる。
7.傷病手当金に所得税はかからない。
8.自営業には傷病手当金がない。
障害年金
就労不能時の公的保障として、傷病手当金のほかに障害年金があります。
一般的には、傷病手当金が先に支給されますが、同一の傷病で障害認定されると、障害年金が優先的に支払われます。
これを、併給調整といいます。
障害年金には、国民年金保険から支給される「障害基礎年金」と厚生年金保険から支給される「障害厚生年金」があります。
まずは両方に共通している、障害年金を受給するための3つの要件をみてみましょう。
障害年金受給要件
何やら難しそうなことを書いていますが、平たく言うと、病気やケガをして病院を受診した日に、会社員として厚生年金、自営業等の方は国民年金を支払っていて、直近1年間の未納がないこと。
以上、未納なく年金をしっかり払っているか、免除申請などを行っていれば、障害年金を受給できる権利があるということです。
次に、それぞれの給付内容などを見ていきましょう。
障害年金支給額
初診日に加入していた年金 | 重い⇐ ⇐ 障害の程度 ⇒ ⇒軽い | |||
1級 | 2級 | 3級 | 3級より軽い障害 | |
厚生年金保険 会社員や公務員等 |
障害厚生年金1級 | 障害厚生年金2級 | 障害厚生年金3級 | 障害手当金 |
*報酬比例の年金額×1.25 +配偶者加算 |
報酬比例の年金額 +配偶者加算 |
報酬比例の年金額 (最低保証586,300円) |
報酬比例の年金額×2 (一時金)最低保証あり |
|
障害基礎年金1級 | 障害基礎年金2級 | ー | ー | |
976,125円/年+子加算 | 780,900円/年+子加算 | ー | ー | |
国民年金保険 自営業や専業主婦等 |
障害基礎年金1級 | 障害基礎年金2級 | ー | ー |
976,125円/年+子加算 | 780,900円/年+子加算 | ー | ー |
〈補足〉
配偶者加算は、224,700円
子の加算は、一人224,700円、3人目から74,900円
上図を見ると、またまた難しそうな言葉がずらりと並んでます…
ここは、事例を用いて受給額をイメージしていきましょう。
ここでは、「ねんきん定期便」を用いて、簡単に計算できる方法をお伝えします。
上記一覧の*報酬比例年金は、下図「ねんきん定期」の【E÷B×300】に該当します。
厳密に知りたい方は年金機構HPを。
つまるところ、これから実際にねんきん定期に基づいて、障害厚生年金の支給額を計算してみますので、ココをおさえておけば問題ありません。ややこしいのは障害厚生年金であり、生涯基礎年金は定額なので計算する必要はありません。
〇障害厚生年金1級
=老齢厚生年金額÷厚生年金加入期間×300×1.25
=【E÷B×300】×1.25
〇障害厚生年金2級
=老齢厚生年金額÷厚生年金加入期間×300×1.00
=【E÷B×300】×1.00
*1級、2級の違いは係数の違いのみ。ともに配偶者がいる方は加算あり。
・障害厚生年金1級
=【513,000円÷288月×300】×1.25≒ 668,000円(年額)
・障害基礎年金1級
= 977,125円(子なしの場合)
1級の障害年金合計⇒668,000円+977,125円=1,645,125円(年額)
以上、月額137,000円くらいとなります。
まとめ
・3級以下は障害厚生年金のみの支給
・自営業や専業主婦の方は、1,2級だとしても国民年金の障害基礎年金のみの支給
・障害基礎年金は定額の支給。障害厚生年金は収入や勤続年数によって変わる
・障害厚生年金は、配偶者がいる方に年金加算有
最後に、どの程度の障害で認定されるのか!?目安を日本年金機構から一部抜粋しました。
抽象的でおおまかですね。あくまでも目安としてご参考までに。
今回は、就労不能時の公的保障である「傷病手当金」と「障害年金」について、お話しました。
就労不能という万一の際に、どんな保障があり、どれくらい出るのか!?といったことを、大まかに把握してもらえると十分です。